僕が初めて外国に行ったのは今から25年以上前の事。
成田空港からバンコク経由でデリーに向かったのが初めての海外だった。
そのときに成田ーバンコク間で利用したのがユナイテッド航空である。
初めて乗る外国の飛行機。日本発の飛行機だからと気楽に構えていたら、キャビンアテンダントはみんなアメリカ人のおばちゃんで、いきなり日本語が通じない世界に不安で震えた。
ビールを頼むのに「ビアー、プリーズ」というだけで緊張し、機内食の「ビーフorチキン」が聴き取れずに困惑した。
本当は紅茶が飲みたいのに、英語でなんと言えばいいのかわからず説明をあきらめて緑茶でいいやって言ったら、「最後まで自分の飲みたい物を言え!」と怒られたのもユナイテッド航空だった。
ユナイテッド航空のバンコク便はお世辞にも運行の時間帯がよくなかったので、その後何度もタイに行く事になったけれど一度も使う事はなかった。安さよりもタイでの滞在時間と飛行時間帯の楽さを優先していたから。
だからタイに行こうと思う時にユナイテッド航空はいつも選択肢に入らず、日本航空やタイ航空ばかりを使っていた。
2014年2月にタイに行く事になり、金銭的な事情から安さを優先して25年ぶりにユナイテッド航空を使った。久しぶりに乗ったユナイテッド航空の機内は相変わらず英語が中心だったけど、キャビンアテンダントによっては日本語も通じた。
しかし、今ではどこの航空会社でも当たり前に付いている座席の個人用モニターもなく、映画は見にくいスクリーンに映し出されているだけでプログラムの選択余地無し。
おまけに、アルコール類は全て有料となっており、機内食はクソ不味くて量も少なかった。今まで機内食を2人分もらってまで食べた事はあっても、残した事は1度もなかった僕が、初めて機内食を残した。それほど不味かった。
素人目にも、ユナイテッド航空がバンコク便に力を入れていないのがひしひしと伝わって来た。すべてのサービスが雑でみんな嫌気がさしているような退廃的な雰囲気すら漂っていた。
そして昨日、2014年3月28日の成田発の便をもってユナイテッド航空は成田ーバンコク間の路線を廃止した。今日(3月29日)のバンコク発便が成田に到着したら完全にバンコク路線に幕を下ろすことになる。
人生で初めて使った航空会社のバンコク路線が、25年ぶりに使った翌月に廃止されるということに少しだけ運命的なものを感じた。
25年前、機内で交わされる英語に震えながら不安いっぱいで旅立ったときの記憶がよみがえる。今はもうそんなウブな気持ちになることもなく、機内食の選択で戸惑う事も、紅茶を英語で言う事もできる。
ユナイテッド航空のサービスの悪さばかりが目についた最後の利用だったけど、僕にとっては初体験の相手のようにいつまでも忘れる事ができない航空会社だったんだなあって今さらになって思う。こんなことなら、もっと乗ってやればよかったな。
もうあのユナイテッド航空に乗る事はできないんだなあって思ったら、ちょっぴりさみしくなった。
最後までお読みいただきありがとうございます。
このブログを気に入っていただけたら、下のボタンからツイートやいいね!、お気に入り登録などしていただけるととてもうれしいです。
また、RSS登録していただける方はこちらのボタンをご利用ください。