[ま]彼女の血が溶けてゆく/なんかすごいタイトルのミステリーだよね @kun_maa
「彼女の血が溶けてゆく」なんて刺激的なタイトルだろう。
内科医である元妻の医療ミスで亡くなったとされる女性の秘密を、フリーライターである主人公が明らかにしていくというミステリー。
果たして、本当に元妻のミスで患者は亡くなったのか。
それとも何か別の理由があるのだろうか。
タイトルから勝手に、謎の奇病と組織的な病院内ミステリーを想像していたが、内容はまったく違うものだった。
そういう意味では、ちょっとタイトルに釣られたかなとは感じたが、主人公が地道に真実にたどり着いていく過程は適度なテンポで心地よく読み進めることができる。
よく言えば安心感のある作品、悪く言えば平凡なミステリー。
とは言え、さまざまに張り巡らされた伏線は、ひとつひとつ明らかになるごとになるほどねって思える楽しみはあるし、少し表現のクドさを感じるところを除けば悪くはない。
特に、この主人公やけに元妻にこだわって未練たらしく女々しい奴だなと思っていたら、これも大切な伏線だった。
まあ、割とわかりやすくて伏線が伏線として機能していないものもあったけど。
細かいことは気にしない。
完全に謎が解決したと思った後に意外な形で明かされる真実は、「どんでん返し」と言えなくもないけど、なんとなくそうじゃないかなあと薄々感じる展開なので、その部分は驚きよりも後味の悪さばかりが残った感じがする。
読めばわかると思うけど、ああいう種明かしのやり方はちょっと強引すぎるかなあ。
この作品の魅力は、最後の「どんでん返し」よりも、亡くなった女性の過去や家族の秘密を解き明かしていく過程の方にある。
そんなことを感じたミステリー作品。
そしてラストは、暗い中にも希望が見え隠れしていてこういう展開は嫌いじゃない。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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