[ま]マヨネーズ/この本はなんだ?!不思議なマヨネーズの世界 @kun_maa
この本はいったいなんだ?!というのが第一印象。
だって、書き出しがこれだ。
幼い頃から、僕はいつか自分に合ったマヨネーズに出会うことを夢見ていた。そして毎日できるだけ多くのマヨネーズを食べようと努力したこともある。だけど駄目だった。どれも同じマヨネーズだった。それで、まあ今は駄目かもしれないけど、もう少し年を取ったら、きっと、うまっ、何これうまっ!と思わず叫びたくなるようなマヨネーズに出会うんだろうって考えるようになった。だけどいくら年を取っても何も変わらなかったんだ。大学を卒業してようやく社会人になった今でも、それは変わらない。
この物語にはさまざまな「マヨネーズ」が出てくる。
例えばこんなふうに。
「僕は思うけど、人間には二種類ある。マヨネーズにこだわる人とそうでない人。僕はマヨネーズにこだわらない人に入る」
マヨネーズちゃんが不味いと思いながらマヨネーズを食っているのは許せない。もったいなさすぎる。はっきり言って、買ったばかりのマヨネーズをそのまま流しに捨てるのと、全く一緒だ。食いたいマヨネーズがあるのに、何で毎日マヨネーズ社に来てあの不味いマヨネーズを食ってる?食いたくて仕方ないマヨネーズがあるのに、何でマヨネーズ主任のあのマヨッとしたマヨネーズを食ってる訳?
頑張って同じマヨネーズを食べている人がほかにもいっぱいいるのよ。むしろ、もっと不味いマヨネーズを食べている人の方が多いくらいだと思うよ。マヨネーズ共和国の人とかね、普通のマヨネーズを一口食べるために何キロも歩かなければならないんだって。
もちろん、この物語に出てくるさまざまな意味不明な「マヨネーズ」は、そのほとんどがメタファーだ。
さまざまな「マヨネーズ」をどう読み取るのかは読者次第。
人生?主張?意見?生き甲斐?目標?仕事?好物?探し物?ワイン?コーヒー?それとも本当のマヨネーズ?
本書は、おそらく大分在住の20代のアメリカ人「オドネル・ケビン」による日本語による創作だそうだ(日本人翻訳者による日本語チェックは入っているが)。
母語ではない言語でこれだけ不思議な「マヨネーズ」の世界を描いていることに驚きを隠せない。
本書を読み終えた時、「マヨネーズ」世界の不思議な感覚を引きずりながらも、なぜか温かい気持ちになる。
最後の1文の秀逸さには思わず微笑んでしまう。
あなたは、この「マヨネーズ」の世界に何を見るのか、何を感じるのか。
あなたの「マヨネーズ」はなんだ?
最後までお読みいただきありがとうございます。
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