[ま]WORLD WAR Z /8月にはブラピ主演で映画も公開予定!これを読まずにゾンビは語れない @kun_maa
こんにちは!ウォーキングデッドのシーズン3第8話以降が、Huluでずっと更新されなくてゾンビ成分欠乏症になっている @kun_maa です。
本書は、発売とともにニューヨーク・タイムズのベストセラーリストに4週間にわたってランクインしたというマックス・ブルックスの長編小説「World War Z : An Oral History of the Zombie War」(2006年作品)の翻訳本で、526ページにもおよぶ長編ゾンビ作品。
舞台は全世界。
中国の辺境の地から始まり、瞬く間に世界中に広がった蘇る死者たち。
人類が絶滅の危機に瀕し、そしてどのようにしてこの困難な戦いを制したのか。
その「世界Z戦争」(もちろんZはゾンビのZ)の終結から10年。
国連戦後委員会がまとめたそのZ戦争の報告書から、最終的に除かれてしまった「人間的要素」(個人の経験的な部分)をまとめたのが本書という設定になっている。
世界中で死者が蘇り、人間を襲い始めたらどのようなことになるのか。
世界中でゾンビとの戦いを強いられることとなった人々からの聞き取り調査を、発生源である中国辺境の地に始まり、ゾンビウィルスのパンデミックと世界各地での大パニックを経て、ゾンビとの全面戦争へと時系列で追っていく形式をとって物語は進む。
ゾンビ映画の世界のように、主人公の周囲の状況のみを描いた作品ではなく、ゾンビの出現により世界のパワーバランスが変動する様が描かれると同時に、ひとつひとつのインタビュー自体が、極めて個人的な物語としても優れた作品性を有しているため、2つの要素を絶妙なバランス感で描いた壮大な物語に仕上がっている。
例えば、人類がゾンビの猛攻に対して勝利するために用いた戦略の基となったのが、南アフリカ政府がアパルトヘイトの際に、アフリカ原住民による全面蜂起の勃発を想定し、少数の白人集団がそれを乗り切るために作ったシナリオであるという皮肉な内容を盛り込むなど、単なるゾンビを撃ち殺してヒャッハー!という作品ではない。
個々のインタビューそのものがひとつのゾンビ映画になるくらいの魅力を備えた優れた作品のため、全世界的な危機を浮かび上がらせながら、あくまでも個人目線での人間ドラマとしても描き切っているところが本当に素晴らしい作品だと思う。
ゾンビを扱った作品としては、他に類を見ない素晴らしい作品である。
しつこいかもしれないけれど、とにかくおもしろい!
そんな素晴らしい作品である本書をハリウッドが放っとくはずもなく、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットが所有する製作会社が映画化権の争奪戦を行い、ブラッド・ピット側が見事に映画化権を取得。今年の8月に公開される予定である。
すでにトレーラーがYouTubeで公開されている。こちらも絶対見逃せない感じで今から楽しみである。