[ま]ぷるんにー!(พรุ่งนี้)

ぷるんにー(พรุ่งนี้)とはタイ語で「明日」。好きなタイやタイ料理、本や映画、ラーメン・つけ麺、お菓子のレビュー、スターバックスやタリーズなどのカフェネタからモレスキンやほぼ日手帳、アプリ紹介など書いています。明日はきっといいことある。

[ま]情理を尽くして語ることの大切さ/街場の文体論 @kun_maa

 

 

 

こんにちは!人に言葉を届けることはとても難しいと思う @kun_maa です。

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自分が伝えたいモノを言葉にして、自分の思っているとおりに人に受け取ってもらうということは、本当に難しいことだと思います。
たぶん僕は不可能なんじゃないかとさえ思っています。
だから、僕は人が理解し合えるということについては、悲観的な考え方の持ち主です。
 
まず、自分の思っていることを言葉にする段階で何かが変わり、それを相手が受け取る段階でまた変わる。
 
自分が届けようと思ったモノがどういうものなのかを説明するためには、言葉という形に変換しなければ、本人でさえ自分が届けようと思っているモノがなんなのか本当に理解することはできません。
 
それでも、僕はやっぱり何かを伝えたい、わかり合いたいと思うからあきらめずに話したり、書いたりするのだと思います。
そう、本書で著者が述べているように「情理を尽くして語る」ことでしか、いくばくかのことでも人に何かを伝えることはできないのだと思います。
 
「街場の文体論」(内田樹 著)

 

著者の大学での最後の講義「クリエイティブ・ライティング」をベースにし、生きた言語とはなにかということについて、エクリチュール、メタ・メッセージ、クリシェなどを関連づけながら語られている本です。

「どれほど非論理的であっても、聞き取りにくくても、知らない言葉がたくさん出てきても、『届く言葉』は届く」。
 
そして、そのような『届く言葉』とは結局のところ、言葉にならない波動や非言語的な形態から生まれてくる「魂から出る言葉」であり、「生身から生まれる言葉」なのであるということを、それこそ「届く言葉」で丁寧に説明しようとしている著者の思いがヒシヒシと感じられました。
 
多くの共感できる部分があり、1回読んだだけではとても消化しきれません。
 
それでも、あえて特に共感した部分を抜き出すと次の部分です。
 
「僕たちは別に『すでに知っていること』を書いているわけじゃありません。書きながら、自分が何を言いたいのか、何を知っているのかを発見するんです。書いてみないと、自分が何が書けるのか、何を知っているのかわからない。順序が逆転しているんです」(P.41)
 
「僕があるメッセージを書こうとすると、どうしても僕自身の語彙や論理力や言葉感覚とか、僕自身の能力の限界によって、言いたいことがうまく言えない。だから、僕のテクストだけを読んでも僕が何を言いたいのか性格に知ることは原理的にはできません。テクストの前にある純粋状態の『言いたいこと』を読者は直接的に触れることはできないから。伝言ゲームのように、純粋状態の『言いたいこと』はテクストを経由することによって、必ず汚れてしまう」(P.197)
 
「『外に向かう言葉』にはその適否や品質について数値的な評点を与える査定者がいません。というのは、それは採点者の前に提出された『答案』ではなく、できるだけ多くの人間に届けたい『メッセージ』だからです。求めているのは精度の高い評価を得ることではなく、できるだけ多くの人に受信され、理解されることだからです。僕は、言葉はそのような条件においてしか生成的になることはないだろうと思います。『情理を尽くして語る』言葉、受信者の裾にすがりついて、『お願いだから、オレの話を聴いてくれ』という懇請の言葉だけが『外に向かう』ことができる。僕はそう思います」(P.284〜285)

「今僕たちのまわりに行き交っている言葉の多くは『届く言葉』ではありません。『査定を求める言葉』でさえない。『自分を尊敬しろ』と命じる言葉です」(P.287)
 
言葉というものの本質に迫り、届く言葉とはどんなものなのかを懸命に届けようとしている良書です。 
 

 
 
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