[ま]ぷるんにー!(พรุ่งนี้)

ぷるんにー(พรุ่งนี้)とはタイ語で「明日」。好きなタイやタイ料理、本や映画、ラーメン・つけ麺、お菓子のレビュー、スターバックスやタリーズなどのカフェネタからモレスキンやほぼ日手帳、アプリ紹介など書いています。明日はきっといいことある。

[ま]本音で語られる生きたことば/悪人正機 @kun_maa

 

 

 

こんにちは!善人なほもて往生をとぐ、いはんや悪人をや @kun_maa です。

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タイトルになっている「悪人正機」とは浄土真宗の思想の「悪人こそが阿弥陀仏の本願による救済の主正の根機である」というものです。
 
簡単に言っちゃうと、自分が煩悩を抱えた「悪人」だと自覚した者こそ阿弥陀仏の救済の対象だってことになるのかな。
 
宗教的に正しい解釈なのかは、僕は浄土真宗の信者ではないので知りませんが、飾らない真の自分の姿をいいところも醜いところも自覚することの大切さを意味しているんじゃないかなと勝手に思っています。
 
悪人正機」(話し手:吉本隆明 聞き手:糸井重里

 
 

糸井重里さんが聞き手になり、吉本隆明さんが、さまざまなテーマについて持論を展開するとてもおもしろい本です。

ほんとうのことを言うのは、いちばん簡単なことなのに、それができなくなっているからことばがどんどん腐って死んでいく。死んだことばで書かれた説教も処方箋も役には立たないし、生きていくにはじゃまなものだ」と、冒頭で糸井さんが述べているのですが、本書で語られる吉本隆明さんのことばは、なんていうかすごく突き抜けていて、ほんとうの生きたことばを感じます。
 
「生きる」ってなんだ?
「友だち」ってなんだ?
「挫折」ってなんだ?
「殺意」ってなんだ? 
正義とは、国際化とは、宗教とは、教育とは、言葉とは、文化とは、家族とは・・・
 
それぞれのテーマにしたがって語られる吉本隆明さんの本音の言葉。
決して高所から偉そうに知識をひけらかして語るのではなく、読者に伝えようとする気持ちのこもった言葉の数々に気持ちを打たれます。
 
本音で語られることばは、時に反感をかうこともあるかもしれません。
僕だって、ここに語られていること全てに賛成というわけでもありません。
 
それでも、気持ちをこめて、できる限り自分の考えに正直であろうとする姿勢はやはり、読み手の心を打つものなのだなあと改めて思いました。
 

生きる価値はどこにあるんだ?それはちょっとね、本当にわかんないですね。わからないでしょう。何で価値があるかなんて、わかんないですよね。
わからなくても、ある場合には何かに夢中になってるから、その時間があるから、まあ、間に合ってるというか、生きてるほうにいるわけだけど、生きてどうするんだなんて言われても、そんなの何もないですよね。
そんなものないし、あるぞ、みたいなことを言うのはおかしいんじゃないかと、逆にそう思いますね。 P.23

よく「俺、友だちたくさんいるよ」なんて言うヤツいるけど、そんなの大部分はウソですよ(笑)。結局、ほとんど全部の人が本当は友だちがゼロだと思うんです。
もちろん、人間には性格的に社交家の人とそうじゃない人もいますよ。でも、社交家だからいいとか、そうじゃないと損でポツンとしてるってことはないんですよ。
結局、どっちだって同じ、どうせひとりよ、ということなんです。月並みだけれども、人生というのは孤独との闘いなんですから。 P.42

 
本書の中でも僕が特におもしろい考え方だなと思ったのは、自己評価よりも低いものをやるという部分です。吉本隆明さんといえば詩人であり評論家であり、その文章はともすると難解で僕なんかには理解できなかったりするのですが、こんなふうに語っています。

ぼくは、ある時点からわりと意識的に、やり方を変えたんです。「ある条件の読者にだけ通じるもの」ではなくて、条件なんか、とっぱらっちゃったところでやっていこうとしています。
自分で、ある時点から変化したというのは・・・「自分に対する自己評価、みたいなものがあるとすると、その自己評価よりも下に評価されることなら、何でも、やっていいんだ」と、ぼくはある時から、決めちゃったんです。仕事を続けていくうえで、「自己評価よりも高いもの」に思われるのは、ごめんであると。 P.316

 
ふつうは自己評価以上に高く評価されたくて、実力以上のものに手を出してしまいがちですけど、低く評価されてもかまわないってある種の開き直りみたいなところで、自由に生きていくっていうのは、なかなかできないことだなと思います。
 
吉本隆明さんは、一番大切なのは中学生だと思っているから、この本も中学生に読んでもらえるとうれしいと「あとがき」で述べておられます。
 
僕は、中学生はもちろんのこと、ごまかしやウソのない吉本隆明さんの生きたことば全開の本書を多くの人に楽しんでほしいと思いました。

 
 
 
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