[ま]つながらない生活「ネット世間」との距離のとり方 @kun_maa
突然ですが「50時間42分」って、なにに費やされた時間かわかりますか?
わからないですよねw
同じ期間の読書時間がわずか「13時間17分」。
睡眠時間が「51時間37分」でした。
iライフログNatz Soft カテゴリ: 仕事効率化 更新: 2012/4/3 |
今は休職中で仕事をしていませんから、このような時間配分になってしまっているということもありますが、たとえ復職しても仕事の大半はPCで行うことになるので、もしかしたら仕事をしていたとしても同じくらいの時間をPCやiPhoneの画面を見つめて過ごすことになるのかもしれません。
これだけの時間を使っていることを知って、愕然としました。
果たしてこれは、限られた時間を有効に使っているのだろうか・・と。
しかも、これだけの時間を費やしているというのに、僕のReederとRead It Laterには未読の記事やニュースが3000件以上溜まっているのです。
なんということでしょう!
どう考えても情報の波に呑み込まれて身動き取れなくなっているではありませんか。
こんな生活をいつ選びとってしまったというのか・・
本書のタイトルは「つながらない生活」です。
でも、その内容はネット社会を全否定するものではありません。
著者が問題視しているのは、読書やじっくり考える時間という「内向きの世界」と”つながり至上主義”とすら言えるスクリーンを通して外とつながり続ける「外向きの世界」のバランスが崩れて、あまりにも後者に偏重しているということです。
まるで僕のことを言われているようです。
本書では、現代のネット社会を否定するのではなく、かといって現状を肯定して過度の情報の流れの中に順応することを勧めているわけでもありません。
現状は現状として、そのような世界に生きていかざるを得ないなかで、ツールの長所を活用しつつ、内面と外面の両方の世界のバランスをいかにとるかということの重要性を説いているのです。
著者は繰り返し次のようなメッセージを読者に送り続けます。
「何より重要なのは、つながっている時間とそうでない時間、集団と自分、外向きの生活と内向きの生活をほどよく調和させることだ」(P.294)
そして、このような問題は現代のネット社会に限ったことではなく、状況の違いこそあれ、「文字の普及」や「印刷技術の発展」、「電話」や「テレビ」、「鉄道」など過去の様々な技術革新による人間への影響など、遠い昔から人類が経験してきたことなのです。
そこで著者は、プラトン、セネカ、グーテンベルク、シェイクスピア、ベンジャミン・フランクリン、ヘンリー・ソロー、マーシャル・マクルーハンの7人の賢人たちの例をあげながら、外の世界と適度につながらないための知恵、内面を充実するための工夫、落ち着いた生活を取り戻すヒントなどについて述べています。
そう、本書で述べられているのは、あくまでもヒントであって処方箋ではありません。
最後に著者はこう言います。「テクノロジーの影響によって世の中は実際より小さく感じられる。あらゆる場所にあらゆる種類の部屋がある。どのスペースもつくるのはあなただ。だが突き詰めていくと、素晴らしい暮らしができるかどうかは場所とは関係ない。あなたが考え方、暮らし方をどう選ぶかにかかっているのだ。人差し指をこめかみに当てて二回叩こう。すべてはそこに収まっている」(P.334)
そう、答えは各自の頭の中にあるのです。
いつでも、どんな環境でも、心の持ち方しだいで周囲と適度な距離をとることができるのです。
最後に、本書のなかで紹介されている次の話を書き出しておきます。
”小説家のスティーブン・キングは「毎日、目が覚めている時間のほぼ半分をスクリーンの前で過ごしている」と気づき、習慣を改めようと決意したという。「死の床で『もっとたくさんのインスタント・メッセージを送ればよかった』と思う人などいないはずだ」”
ネットとのつきあい方に悩み、疑問を感じ、何かをよりよく変えていきたいと思っている人にお薦めする「適度につながらない」ためのヒントにあふれた興味深い本です。