こんにちは!決断力がないので「決断力」という言葉に弱い男 @kun_maa です。
東日本大震災のあった日、僕は職場にいて震災直後の対応を行い、ようやく一段落したのが日付が変った頃でした。
そのまま職場に泊まる同僚に別れを告げて、徒歩で5時間ほどかけて帰宅しました。
深夜なのに同じように歩いて帰る人たちがたくさんいたのを覚えています。
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あれからもう1年以上経つのですね。
本書の中心は、東日本大震災直後から引き起こされた緊急の課題や危機管理に立ち向かった猪瀬副知事と東京都の記録です。
地方公共団体というガチガチの組織にもかかわらず、既存のルールにしばられずに、果敢に危機に挑む猪瀬副知事をはじめとする東京都の凄さが際立ちます。
例えば、通常ルートでの要請がある前に、いち早く消防艇を千葉に派遣したり、TwitterによるSOSの訴えから、宮城県気仙沼市で孤立した子どもたちの救助に東京消防庁のヘリを向かわせたり、国の判断より速く福島原発に東京消防庁のハイパーレスキュー隊を向かわせたり、Twitterで都内の交通状況や避難所情報を流し続けたり・・
いずれも、通常の判子行政でやっていては到底実行することができないことを、石原都知事を筆頭に、猪瀬副知事、都庁職員がそれぞれ「今なにが大事か、今最優先すべきことはなにかということを現実を見据えて即断即決した」からこそ実現できたことではないでしょうか。
本書は、「即断即決で立ち向かう」「想定外をなくす思考と行動」「リスクをとって攻めに転じる」の3章構成で危機管理に必要な考え方や普段からの心構え、震災後の日本人のあり方について述べられています。
危機管理におけるブレないリーダーの大切さ、スピード感のある決断力の重要性、過去の事例をつぶさに検討することの必要性、普段の準備の大切さなど読んでいて、非常に納得できることばかりでした。
なかでも特に心に残ったのは次の文章です。
「災後社会は『自己責任の時代』ということでもある。それは個人がすべてを負うのではなく、日本列島で災害を生き抜いてきた記憶を持つ一員として、責任を分担するという意味だ。震災後には『国難』という言葉が自然に出てきた。災害を生き抜く日本人の共通の記憶が呼び起こされたからだろう。孤立した個人ではなく、共通の基盤、認識の上に立つ個人として戦っていく『災後型の自己責任社会』が求められている」(P.203)
だからこそ、これからの日本人は、なんでも役所まかせ、企業まかせではなく、自分で自らを守る「自助」の精神、そしてそれをベースにひとりひとりが共に助け合う「共助」、公的な支援である「公助」を組み合わせていかなければならないのだと強く感じました。
そしてそこには当然個人個人の「決断する力」が必要なのです。
僕たちが今できることはなにか、個人として、国民としてなにができるのかをしっかりと考えて、決断して、行動に移していくことが求められているのだと思いました。