[ま]ぷるんにー!(พรุ่งนี้)

ぷるんにー(พรุ่งนี้)とはタイ語で「明日」。好きなタイやタイ料理、本や映画、ラーメン・つけ麺、お菓子のレビュー、スターバックスやタリーズなどのカフェネタからモレスキンやほぼ日手帳、アプリ紹介など書いています。明日はきっといいことある。                     

[ま]「自殺」(末井昭 著)/説教や説得や生き甲斐を説くわけではないけど自殺を止める力があると思う @kun_maa

この本、タイトルがズバリそのまま「自殺」です。

本屋で平積みで売られているのを見かけたときに、そのタイトルと表紙のムンク「叫び」にこれはきっとふざけたトンデモ本に違いないと思いました。

自殺

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でも手に取ってみてパラパラと流し読みしてみたらこれが思っていたのと全然違うんですね。すぐに本を持ってレジに並んでしまいました。

だって落ち着いて続きが読みたくなったから。

 

著者自身は自殺しようと思ったことは一度も無いと本書の中で書いているんですが、逆になんでこれだけの体験をしてきて一度も自殺しようと思ったことがないの?って不思議に思えるほど書かれていることは凄まじいです。

それは、著者が小学校に上がったばかりのころに隣の家の年下の青年とダイナマイト心中をした母親の話から始まり、先物取引や不動産購入で億単位の借金地獄になったり、うつになったり、大腸がんになったり、不倫を繰り返したり、その挙げ句不倫相手が自殺未遂したり、不倫相手が精神を病んだり、ギャンブルに狂ってみたり......そこまで体験しちゃうのかってくらい凄まじい。

 

でも、この著者はそれを飄々とおもしろおかしく書いてしまいます。

だからよく考えると「これは......」と絶句してしまうような体験が書かれているはずなのに思わず笑ってしまって、なんだか自分が不謹慎なような気分になります。

そして著者のことを「こんなことをしている人が平気で生きているんだから、生きた者勝ちだな」って思えてくるから不思議です。

著者は自殺について次のように書いています。

僕は必ずしも「自殺はダメ」とは思っていません。もちろん死ぬよりは、生きていた方が良いに決まっています。でもしょうがない場合もあると思います。人間社会は競争だから、人をけ落とさなければならない。時には人をだますこともあるでしょう。でも、そんなことしてまで生きたくないって思うまじめな人、優しい人に「ダメ」と、分かったようなことは言えないですよ。まじめで優しい人が生きづらい世の中なんですから。(中略)

お金持ちは「日本は自由競争で、だれにでもチャンスがある。お金がないのは、あなたが努力しなかったから。貧乏は自己責任」と言います。だけど今後、経済は縮小するし、格差も広がって、お金はますます行き渡らなくなる。だから、お金がないのは、あなたが悪いんじゃない。社会が悪い。社会が悪いのにあなたが死ぬことはないんです。(P.4〜5)

 

そして、すぐ直後のこの部分にもドキリとさせられました。

先ほどの引用部分もこの引用部分も前書きからの引用なのですが、著者の基本的なスタンスを的確に表明していて心を動かされました。

この本を「読みたい」と思ったのもこれらの部分を読んだからです。

世の中、自殺について醒めているような気がします。交通事故死者の六倍も多いのに「最悪ペース」を報じる新聞の記事もあまり大きくなかった。熱心に自殺防止に取り組んでいる自治体やNPOもありますが、おおかたの人は自分とは関係ない話だと思ってるんでしょう。もしくは自殺の話題なんか、縁起悪いし、嫌だと目を背けてる。結局ね、自殺する人のこと、競争社会の「負け組」として片づけてるんですよ。「負け組だから死んでもしょうがない」「自分は勝ち組だから関係ない」と。「ああはなりたくないね」と。(P.6) 

世の中には精神医学や心理学、社会学的な見地から「自殺」について書かれた本がたくさんあります。データの分析や研究で学問的に「自殺」を捉えて対策を考えることも大事でしょう。それは社会問題としての「自殺」への対策として必要なことだとも思います。

でも大上段に構えて「自殺はいけないこと」「自殺をやめよう」「自殺を止めよう」というのは言うだけなら簡単だし、それにどの程度の効果があるのか僕は知りません。

行政が大金をかけて取り組んでいる自殺防止キャンペーン。それなりの効果はあるのかもしれませんが、やはりどこか他人事のように感じるのです。

 

それよりも本書のように「自殺」に優しく寄り添い、自らの体験をおもしろおかしく晒すことで、多くの人の心に笑いと自殺するのがバカらしくなるような脱力感を与えてくれる本の存在は貴重だなって思います。

ほかに無いですよ。こんなに心がこもっていて読んで楽しくて、死ぬのがバカらしくなる本なんて(賞賛しているつもりです)。

あとがきで著者が書いている次の文が本書のことをよく言い表しています。

自殺しようとしている人に、拙い僕の文章が届いたかどうかわかりませんが、ほんの少しでも心が動いてくれたら嬉しいです。「こんなバカな人間がいる」と思って笑ってもらえれば、さらに嬉しいです。

僕も母親を初め、何人かの知り合いが自殺していますが、親しい人の自殺は本当につらいものです。この本がそういう方々の慰めに少しでもなればという思いもあります。(P.354) 

自殺したいとちょっとでも考えている人にはぜひこの本をすすめたいです。

また、なんだか今の世の中生きづらいよなって感じている人たちにもぜひこの本を手に取って欲しい。そんな気持ちにさせられる心に響いた一冊です。  

自殺

自殺

 
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