[ま]ぷるんにー!(พรุ่งนี้)

ぷるんにー(พรุ่งนี้)とはタイ語で「明日」。好きなタイやタイ料理、本や映画、ラーメン・つけ麺、お菓子のレビュー、スターバックスやタリーズなどのカフェネタからモレスキンやほぼ日手帳、アプリ紹介など書いています。明日はきっといいことある。

[ま]おばあさんと僕とクラフトビール @kun_maa

成城石井クラフトビールを買いに行った。

僕がよく利用する店は元々扱っているビールの種類が豊富だったのだけれど、僕が頻繁にクラフトビールを買うようになってから海外勢を中心にさらにビールのバリエーションが豊かになったような気がする。

とはいえ、久しぶりに訪れて売り場を見た第一印象は、僕が禁酒をしていたここ1ヶ月の間にちょっと品揃えが貧疎になったんじゃない?ってものだった。

特に大好きなBrewDogの種類が極端に減っているのは気のせいではなかろう。やはり僕の買い控えが仕入れに響いたんではないか。自意識過剰。

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僕は炭水化物や糖質を極力摂らないようなつまみとしてナチュラルチーズとサーモンの刺身を選んでビール売り場に向かった。糖質を意識しだすとつまみの種類がかなり限られてしまうところがちょっとさみしい。

 

ビールが並んでいる一角にはすでに数人が群がっていたが、仕事帰りのサラリーマンたちに混ざっておばあさんがひとり熱心にビールを見つめていた。

おばあさんとクラフトビールの組み合わせって意外と珍しいかも、なんて思いながら売り場に近づいた僕に突然振り向きざま困惑した顔でおばあさんはこう言った。

「だぶりゅびーしーをやっているでしょ。だぶりゅびーしーのビールがあるって聞いて買いに来たんだけど見つからないのよ」

 

自慢することでもないと思うが、僕はスポーツ観戦には全く興味がない。

そんな僕だから、おばあさんが口にした「だぶりゅびーしー」という単語がスッと頭に入って意味を成すはずもなく、何を言っているんだろうこの人は...見ず知らずの僕に意味のわからない話をするなんてもしかしてボケてるのか?などと失礼なことを咄嗟に考えてしまった。

そんな僕の戸惑う様子を気にすることもなく、おばあさんは先ほどの話をもう一度繰り返す。いやいや聞こえてないわけじゃないから。

それでも2回聞いて僕はようやくそれが「WBC」であり「World Baseball Classic」のことだと気づいた。

 

しかし、いきなりWBCのビールと言われても何のことやらわからない。

おばあさんに「ちょっと待ってね」と言って急いでiPhoneググると、どうやらアサヒスーパードライからWBCデザイン缶ビールが過去に何度か発売されているらしい。

ただ、それが今年も出ているのかどうかはよくわからなかった。

おばあさんに「ビールの中身は普通のスーパードライだけど缶のデザインがWBCのがあるみたいですよ」と伝えてから、ざっと売り場を見渡した。

 

もともと日本の大手のビールのほうが少ない売り場には、お目当てのビールがないことはすぐにわかった。「この店にはないみたいですね」と言う僕におばあさんは「それじゃあ、何か珍しいビールがいいわ。せっかくだから」と答える。

何が「せっかく」なのかわからないし、何よりおばあさんがWBCを熱心に観ているとは思えなかった僕は「野球お好きなんですか」と尋ねる。

「わたしじゃなくて主人がね。それでせっかくだから」とおばあさん。

 

「どれがいいかしら......」と長年連れ添ったであろう(想像)夫のために悩むおばあさんが可愛らしくて「これはどうかしら」と尋ねられるままにおばあさんが手にしたクラフトビールについて知っていることを説明してあげた。店員かっ!

おばあさんの表情から、たぶん半分も理解してくれてないなって感触はあったけどさ。

 

彼女自身はビールをほとんど飲まないということなので、そういう人にビールの味わいの違いを説明することの難しさをあらためて感じた。

わかったような顔をしてビアバーで飲んだビールの感想を「ホップのアロマが心地よく柑橘系のフレーバーが云々カンヌン」などと偉そうに書いている場合ではないのだ。そんな表現方法は今ここではあまりにも無力。

 

いろいろと逡巡した結果、とにかく珍しくて美味しいビールがいいとのご要望にお応えして、普段はキリンラガーか一番搾りを飲むことが多いというおじいさんのために、僕はヤッホーの「インドの青鬼」とエビスビール初の上面発酵のホワイトビール「華みやび」を選んであげた。

この選択は正しかったのだろうか。どちらもきっと「珍しい」とは感じてもらえるはずだ。その珍しさを「美味しい」と思ってくれるかどうかは神のみぞ知る...だ。僕にはもちろん結果を知る術はないけれど、彼女の旦那さんが気に入ってくれたらうれしいなって思いながら、「どうもありがとうございました」というおばあさんに「いえいえ」などと曖昧な返事をしながらなぜかペコペコ頭を下げながら僕はレジへと向かった。

 

......自分のビールを買い忘れたことに気がついたのはレジで自分の順番が回ってきた時だった。結局僕はその日のビールをあきらめた。

なんとなく、まあいいかって思えたから。

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