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[ま]ぷるんにー!(พรุ่งนี้)

ぷるんにー(พรุ่งนี้)とはタイ語で「明日」。好きなタイやタイ料理、本や映画、ラーメン・つけ麺、お菓子のレビュー、スターバックスやタリーズなどのカフェネタからモレスキンやほぼ日手帳、アプリ紹介など書いています。明日はきっといいことある。                     

[ま]メキシコ麻薬戦争/日本ではほとんど報道されない麻薬取引と暴力の現実を知る @kun_maa

書感

アメリカのブレイキング・バッドというドラマが好きで少しずつ観ています。シーズン5まで全124話もある長いドラマなので、まだシーズン4の途中だけど。 

このドラマは2008年から2013年まで続いたのですが、ちょうどリアルなメキシコ麻薬戦争真っ只中な時期とも重なっているんだよね。

ドラマは終わったけど、リアルな麻薬戦争はまだ終結していないところがなんともやりきれないところではありますが。

もちろんドラマの中にも、ヤバいメキシコ麻薬組織の連中が出てきます。もうね、人を殺すことなんて、なんとも思っていないような連中。怖いよなあ。

 

本書「メキシコ麻薬戦争」で取り上げられているマフィアたちにとっても、人殺しなんて日常的な風景と化しています。

彼ら麻薬組織が雇う殺し屋の報酬はたったの85ドル。その程度の金額で、喜んで人殺しを請け負う少年たちが掃いて捨てるほどいるのがメキシコの現実なのです。 

メキシコ麻薬戦争: アメリカ大陸を引き裂く「犯罪者」たちの叛乱

メキシコ麻薬戦争: アメリカ大陸を引き裂く「犯罪者」たちの叛乱

 

あまりにも殺人日常化している現実では、社会そのものが病んでいるように見えて何が正常なのかがわからなくなります。

国中各地で流血事件が起こり、もう何が起きても驚かないほどだ。9人の警察官が誘拐されて殺されたり、街の広場で大量の人間の頭部が見つかっても大ニュースにはならない。よほどセンセーショナルな残虐行為でないかぎり、今やメディアの注目を集めなくなった。独立記念日を祝う群衆に手りゅう弾が投げ込まれた事件。古い銀山の採掘坑から56体もの腐敗死体が発見され、そのうちのいくつかは生きたまま投げ込まれたことが判明したりもした。さらに妊婦を含む72人の移民が誘拐され殺害されたこともあった。メキシコでは残虐な戦争犯罪に匹敵する大量殺人があまりにも多すぎる。 (P.16)

カルデロン大統領が就任した2006年からの、最初の4年間だけでも麻薬戦争での死者は34,000人にのぼるといいます。誇張でもなんでもなく完全に戦争規模の死者数です。

なかでも特徴的なのは殺害された公務員の多さ。警察官や兵士はもとより、裁判官、市長、有望な知事候補、国会議員など2,500人が殺害されたそうです。これはメキシコという国家に対する「戦争」以外のなにものでもありません。

そんな異常な事態が、辺境の発展途上国(途上国ならいいという意味ではありません)ではなく1兆20億ドル(2010年)ものGDPを誇る先進国メキシコで起きているのです。

 

なぜこのような異常な事態がメキシコで起きているのか。

そこでは莫大な金額の麻薬取引が行われ、麻薬王と呼ばれる豪華な暮らしをするボスがいれば、わずか85ドルで人殺しを請け負う末端の少年たちが貧困に喘いでいます。そして、そんな世界とは全く関係ない風を装って世界規模の企業が存在し、普通の暮らしをする富裕層や高学歴な中産階級が生活しており、世界に誇るビーチや観光地も抱えています。でも、その裏で何万人もの死者が出ているという不思議な世界。

 

本書では、麻薬の巨大消費地であるアメリカと国境を接するメキシコの歴史的な関係を背景としてこの麻薬問題を描き出しています。

著者は多くの取材や調査に基づいて、麻薬カルテルやメキシコの国境地帯で頻発している残虐な犯罪行為、「ナルコ」と呼ばれる麻薬密輸人の実態などを白日のもとにさらしていきます。

多くのジャーナリストも殺害されているメキシコにおいて、これだけの取材や調査をかけることは一歩間違えれば自らの命を失うことにも繋がりかねません。

著者の知人のジャーナリストや取材対象者も実際に犠牲になっていることを思うと、本書の重みをひしひしと感じます。

 

そのような深刻なメキシコの麻薬戦争について、本書は歴史的な観点、麻薬ビジネスの仕組みと実態の観点、そして今後の見通しや対応策についての観点という三部構成からなっており、日本ではほとんど報じられることのないメキシコ麻薬戦争の実態に迫ることができる貴重なルポルタージュといえるでしょう。

残虐で目を覆いたくなるような悲惨な現実だけではなく、その文化的側面でもあるナルコ文化や、マルベルデ信仰、サンタ・ムエルテ信仰などにも触れられていて、非常に興味深くじっくりと読むことができました。

メキシコで起きているリアルな麻薬戦争の実態を知りたいという方にはもちろん、メキシコ文化と切り離せないマフィアの文化である「ナルコ文化」などの文化・信仰面に興味がある方にもおすすめの一冊。 

ああ、そうそう忘れるところでした。

ドラマ「ブレイキング・バッド」が好きな人も、きっと興味深く読むことができると思います。現実はドラマよりも...

メキシコ麻薬戦争: アメリカ大陸を引き裂く「犯罪者」たちの叛乱

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