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[ま]ぷるんにー!(พรุ่งนี้)

ぷるんにー(พรุ่งนี้)とはタイ語で「明日」。好きなタイやタイ料理、本や映画、ラーメン・つけ麺、お菓子のレビュー、スターバックスやタリーズなどのカフェネタからモレスキンやほぼ日手帳、アプリ紹介など書いています。明日はきっといいことある。                     

[ま]寄生虫なき病/人体という生態系バランスの崩壊が生み出しているもの @kun_maa

書感
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僕が子供の頃には、花粉症なんて一般的な病気ではなかったし、「アレルギー」という言葉自体が珍しかった。

アトピーで苦しむ友達もいなかったし、食物アレルギーによるアナフィラキシーショックで子供が亡くなるなんてニュースも聞いたことがなかった。

いつ頃から、こんなにもアレルギー疾患が蔓延したのだろう。

かくいう僕も、大人になってから花粉症になり、喘息にも見舞われ、リンゴやキウイなどにアレルギー反応を起こすようになってしまった。

 

これらのアレルギー疾患のほかにも、自分の体の組織を免疫系統が外敵とみなして攻撃してしまう自己免疫疾患も増えているという。僕の身近にも膠原病と闘っている人がいる。

これらの現代病とも言える疾患の本当の原因はなんなのか。

これらの病が現代になって増えてきたのはどうしてなのか。

その答えとして有力な考え方である「不在」の病ということについて、膨大な研究資料やインタビュー、著者自身の人体実験的な行為によって書かれているのが本書「寄生虫なき病」である。 

寄生虫なき病

寄生虫なき病

 

表紙の白い不気味な物体は「アメリカ鉤虫」という体長10mmほどの人体に取り付く寄生虫である。

このアメリカ鉤虫は人間の皮膚から体内に侵入し、血管を通って最終的に小腸の腸壁に取り付いて吸血を行い、人体に様々なダメージを与える一方で、鉤虫が体内にいることで自己免疫疾患の寛解という、病に苦しむ人には朗報ともいえる効果をあらわすこともある。

著者が自らの体内に取り込んだのも、このアメリカ鉤虫である。

著者自身、アレルギー疾患や自己免疫疾患を患うひとりとして次のような仮説に基づき、寄生虫に感染しようとしたのだった。

鉤虫などの寄生虫は、人類進化の歴史を通じて常に人類とともにあった。我々の体はある意味、彼らの存在を期待しているのではないだろうか。それどころか、彼らの存在を必要とさえしているのではないだろうか。そして、現代の奇妙な病気の中には、寄生虫がいなくなったことにその原因の一端があるものもあるのではないだろうか。これが、私が寄生虫に自ら感染しようとしている動機だった。一連の科学的証拠が、寄生虫にアレルギー及び自己免疫疾患を防ぐ効果があるかもしれないことを示している。(P.9)

 

以前は存在しなかった免疫系統に関連する難病が続々と現代人を襲っている背景には一体何があるというのか。

寄生虫はもとより、細菌やウィルスといった病気の原因となるものたちを駆逐する公衆衛生の向上によって、人類の脅威である感染症は激減した。

しかし、まさにそれらの感染症の根絶とトレードオフをするかのように、新たな病であるアレルギー疾患や自己免疫疾患が急増していることに一部の科学者たちは気づいていたという。

 

本書はその上で寄生虫や細菌、ウィルスをも含めて、人間という個体が大きなひとつの生態系としての構造を持つことに着目している。

単純に病気を引きおこす悪玉として寄生虫などを駆逐するのではなく、人体という生態系の中でのバランスをとることがいかに重要なのかということを、多くの事例とわかりやすい表現で知らしめようとしている。

 

もちろん、寄生虫や細菌などを駆逐すればよいというものではないという考え方と同様に、これらのものを体内に取り入れれば(つまり、不衛生な状態への回帰)、すべて解決するというものでは当然ないし、著者もそのような極端な考え方をしていない。

寄生虫を体内に宿せばそれで済むという単純なものではないのである。

問題は我々の身体が本来的に持っていたダイナミックなバランスの取り方なのだ。

 

それにしてもアレルギー疾患や自己免疫疾患だけにとどまらず、自閉症から肥満、うつ病、癌にいたるまで、様々な疾患や不健康な状態が、「公衆衛生の向上」という御旗のもとに破壊されてしまった、寄生者を含む人体という生態系の微妙なバランスの影響を受けていることを知り愕然とした。

 

本書が白日のもとにとてもわかりやすく描き出している人体の有する絶妙な世界に、知的好奇心をビシビシと刺激されるとともに、体内生態系というかけがえのないものを崩壊させてきたことに対して、深い戦慄を覚えずにはいられない一冊である。 

寄生虫なき病

寄生虫なき病

 
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