[ま]ぷるんにー!(พรุ่งนี้)

ぷるんにー(พรุ่งนี้)とはタイ語で「明日」。好きなタイやタイ料理、本や映画、ラーメン・つけ麺、お菓子のレビュー、スターバックスやタリーズなどのカフェネタからモレスキンやほぼ日手帳、アプリ紹介など書いています。明日はきっといいことある。

[ま]チャイルド・プア〜社会を蝕む子どもの貧困〜/見えにくいけど目を背けてはいけないと思った @kun_maa

日本の子どもの貧困率は15.7%で、子どもの約6人に1人が貧困状態にあるという。

この数字を見たとき最初に思ったのは、現代の日本で子どもの貧困?なんでそんなことがそんなにたくさんあるの?ってことだった。 

チャイルド・プア~社会を蝕む子どもの貧困~

チャイルド・プア~社会を蝕む子どもの貧困~

 
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正直、不思議でしょうがなかったのだ。それは自分が無知だったから。

大人の貧困問題は、生活保護受給者の増加や非正規雇用の増大などの話題とともに語られることが多くなっているのは感じていた。

でも、そこから「子どもの貧困」へとつなげて考えるという視点が僕にはなかった。

雇用問題として多少の関心は持っても、その影響のもとで引き起こされる「子どもの貧困」問題が深刻になっていることなど考えもしなかったのだ。

だから、深刻化する子どもの貧困に対して「子どもの貧困対策法」が2014年1月に施行され、それに基づく「大綱」が閣議決定されていたことすら知らなかった。

本書では、この大綱に基づく国や自治体の具体的な動きについてまでは触れられてはいない。時期的にそれ以前のことだからだ。

 

この本は、2012年10月にNHK総合で放送された特報首都圏「チャイルド・プア〜急増 苦しむ子どもたち〜」という番組をベースに、番組で伝えきれなかった取材内容を含めて書き下ろされたものである。

取材は、当事者である子どもだけではなく、その親や支援者たちに対しても行われ、子どもの貧困問題の実態に多面的に迫っている。

そこに登場するのはさまざまな事情を抱えた家族の姿であり、子どもの実態であり、支援の困難さである。

子どもの貧困は大人の貧困の陰に隠れて見えにくく、経済的な困難さによる貧困という深刻な問題をベースとしながらも、家族関係や人間関係の破壊をも伴うために、単に金銭的に貧しいという意味だけでは済まない。

他の子どもたちが当たり前に享受できることが、享受できないことによる人間の成長過程の破壊という意味合いが濃厚となり、その後の人生においても貧困の連鎖から抜け出せなくなるという点が深刻なのである。結果として、自立して生きていくために必要なあらゆる機会が奪われていく。

取材に応じていたある親の状況からは、単に親の雇用確保だけでは問題が解決しないということも見えてくる。

ひとり親であることから、雇用の確保に加えて親が子どもと過ごすための時間を確保するために必要な就労形態の工夫、金銭的な支援のあり方を考える必要があるのだ。

さまざまな形で存在する貧困家庭の、それぞれの事情に応じたきめ細かい支援の方法を社会全体で考え、実施して行く必要性をひしひしと感じた。

貧困の連鎖を生み出す元凶である子どもの貧困が放置されれば、それはやがて生きる気力や生活の基盤を持たない貧困層の増大を生み出し、いずれ社会の崩壊を招くことにもなりかねない。

だから見て見ぬ振りをするのではなく、すべての大人が自分のこととして関心を持ち、できることから関わっていく必要があると思うことは打算的だろうか。

子どもの貧困問題に対するさまざまな対応に触れている本書を読み、一番強く感じたのは第三者の果たすべき役割の大きさである。

将来の禍根を断つという打算があろうとなかろうと、第三者が積極的に関わっていくことでしか子どもの貧困問題の解決の糸口は見えない。

こういった問題を考えるときに、貧困世帯の親の責任を問うという考え方もあるだろう。僕も本書に登場した親に対して、必ずしもすべて共感できたわけではない。

だからといって、親の自己責任であると切り捨ててしまっていいものか。もっと親が頑張れよと突き放して済むのだろうか。

実際問題としてどう対処することがいいのか、そして本当に必要な支援とはなにかということを、子どもの貧困を放置した場合にやがて社会が直面せざるを得ない未来を見据えながら、すべての大人が関心を持ち、考え、関わっていかなければならないのだと思う。

それは単に目の前の貧困を解消するための支援にとどまらない、社会全体に影響する根深い問題でもあるからだ。

そのための問題提起となる良書である。 

チャイルド・プア~社会を蝕む子どもの貧困~

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