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[ま]ぷるんにー!(พรุ่งนี้)

ぷるんにー(พรุ่งนี้)とはタイ語で「明日」。好きなタイやタイ料理、本や映画、ラーメン・つけ麺、お菓子のレビュー、スターバックスやタリーズなどのカフェネタからモレスキンやほぼ日手帳、アプリ紹介など書いています。明日はきっといいことある。                     

[ま]園子温監督作品「ヒミズ」の主人公「住田」のように愛されたい/二階堂ふみが切なくも美しかった @kun_maa

2012年1月公開の日本映画。園子温監督作品の「ヒミズ」を観ました。

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人気コミックを原作とする作品らしいのですが、僕は原作を読んでいません。基本的に原作がある作品は、原作とは別物と考えていますので原作のあるなしはあまり僕の中では意味をもちません。だって原作と比べてどうかよりも、目の前の作品をどう感じたかが大切でしょ。

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園子温作品の常連である役者たちは、この作品にも出演しています。

吹越満黒沢あすか、でんでん、渡辺哲、そして監督の奧さんでもある神楽坂恵と。何れ劣らぬ個性派ぞろいですが、今作では完全に主役の2人に呑まれてやや霞んでいます。

特にこれまで大胆な演技で僕を魅了してきた神楽坂恵のあまりにも抑えた普通の演技にはがっかり...っていうか巨乳をまったく活かしていないっていうのはどういうことだと監督を呼んで説教したい( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン

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すいません。つい巨乳絡みになると取り乱してしまいます。

ということで、この作品ではエロは無しです。しつこいようですが、黒沢あすかの妖艶な演技も神楽坂恵の巨乳も登場しません。

登場するのは、普通の大人になりたいと願いながらもその生活環境はまったく普通とは程遠い15歳の中学生住田祐一(染谷将太)とその住田に憧れて恋い焦がれる同級生の茶沢景子(二階堂ふみ)の普通じゃない日常です。

住田の家は貸しボート屋をやっていますが、母親は酒浸りで男を家に連れ込んだり外泊したり。祐一の面倒なんて見る気もなくやがて男と蒸発します。

父親はたまに家に現れては金の無心をし、祐一には殴る蹴るの暴力を振るい「お前なんか本当にいらないんだ。川で溺れた時に死んでくれれば保険金が手に入ったのに」と繰り返し言う最低のクソ親父です。

そして家の敷地内には3.11の震災で全てを失った被災者たちを住まわせているという、かなり変わった環境に暮らす中学3年生の祐一は、しかし「普通」の大人になりボート屋を継ぐことを願っています。すでにスタート地点が普通じゃないのに。

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一方、そんな住田祐一に恋する同級生の茶沢景子はかなり祐一に夢中で、ほとんどストーカーと化していますが、その一途で曇りのない愛情表現がとても切なく愛おしいです。

演じている二階堂ふみという女優を僕は初めて知ったのですが、若い頃の宮崎あおいを思い出させるルックスとその全力で体当たりをするような演技が、とても切なくて胸を打ちます。惚れてしまいます。彼女が住田を愛するように、一途に僕も愛されたいって本気で思いました。

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そんな彼女も、家庭内は実はボロボロ。住田ほどではないにしても、父親は浮気で家出中のようだし、母親はそのためか精神を病んでいるようで彼女に平気で死ねといいます。この作品に登場する親にまともな奴はいません。どんだけ最低で救いがないんだよって思います。救いがない最低の世界を描かせたら園子温監督の右に出る人はいないのではないでしょうか。

わずかな希望すら見えない世界で、それでも絶望を表に出さずに淡々と生きようとする住田と彼を必死に支えようとする茶沢。そして、そんなふたりをあたたかく見守り、未来を託そうとする被災者たち。

常連の俳優たちに加えて、ちょい役で吉高由里子が出ていたり、クズ役で窪塚洋介、最低のクズ親父役で三石研などが出演していて、なかなかいい演技を見せてくれます。

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そして、そんな最低だけど底辺で落ち着いている状態の日常にもやがて破綻が訪れます。

15歳の少年にとってはあまりにも過酷で辛い人生です。彼の望む「普通」は最初から彼の生活には存在せず、そしてさらに手の届かないところへと去っていきます。

絶望の暗闇をのたうち回り、苦悩しながら這いつくばって、さらなる絶望へと歩もうとする住田とそれを必死で止めようとする茶沢。なんかもう、おっちゃん切なくて切なくて何度も泣いてしまいましたよ。

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家庭環境にまったく恵まれない少年と愛情に飢えてその愛の全てを少年に捧げる少女。

周囲の大人が全員クソまみれに見えて、彼らがあまりにも切なくて、救いがなくて。気がつくと頬を伝う涙、涙。なんてこの世は最低なんだって。

そして、結末は...ネタバレきらいなので明かしません。

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作品中で、茶沢が住田に教えたヴィヨンの詩が、この作品を表すのにとても効果的に使われています。そして印象に焼き付きます。

ヴィヨンの「雑詩」の中の「軽口のバラード」という詩の一節のようです。

俺にはわかる

ミルクの中にいる蝿、その白と黒はよくわかる

俺にもわかる 俺にはわかる

どんな人かは、着ているものでわかる

それくらい俺にもわかる

天気が良いか悪いかもわかる 

俺にはわかる リンゴの木を見ればリンゴだってわかる

それくらいわかる

働き者か怠け者かもわかる なんだってわかる

自分のこと以外なら

そう、みんな自分のこと以外ならわかるんです。自分のことが一番わかっていない。そんなことを考えさせられながら、「普通」ってなんだろうねえとか、やっぱり二階堂ふみはいい女優さんだなあとかいろいろ考えちゃいました。

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園子温作品って、見終わった後の心の整理が大変なんだよね。でも大好きです。 

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