[ま]ぷるんにー!(พรุ่งนี้)

ぷるんにー(พรุ่งนี้)とはタイ語で「明日」。好きなタイやタイ料理、本や映画、ラーメン・つけ麺、お菓子のレビュー、スターバックスやタリーズなどのカフェネタからモレスキンやほぼ日手帳、アプリ紹介など書いています。明日はきっといいことある。

[ま]「ゾンビ映画大事典」/ゾンビ映画のレビューに哀愁を感じるゾンビ映画ファンの必読書 @kun_maa

 

こんにちは!ゾンビ映画が大好き @kun_maa です。

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初版が2003年3月とちょっと古い本です。だから、取り上げているゾンビ映画も2002年の「バイオハザード」が最後。それ以降のゾンビ映画については収録されていません。

それでも、この本の価値は全く減じられないというくらい内容が充実しています。

1932年〜2002年に製作されたゾンビ映画345本(!)のストーリー&レビューの他、ゾンビ映画史やキョンシー映画史、有名なゾンビ映画監督列伝などのエッセイも含めて、全415ページというボリューム。

 

僕は日頃ゾンビ映画好きを口にしながらも、恥ずかしながらゾンビ映画の始まりは1968年のロメロ監督作品「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」だと思っていました。

ごめんなさいごめんなさい。

本書によれば、「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」は確かにその後のゾンビ映画に大きな影響を与え、現在も変わらないモダン・ゾンビの定義を確立した作品ではあるけれど、世界初のゾンビ映画は1932年の「ホワイト・ゾンビ」という作品なのです。

ただ、この頃のゾンビは現代のゾンビ映画のように積極的に人を襲うわけではなく、ハイチの伝承を踏まえた奴隷のような哀れで地味な脇役に過ぎません。

やはりゾンビが主役としての存在感を示すようになるには「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」の登場からということになります。

本書ではゾンビ映画を大きく3つに区切るという映画史観を打ち出していて、それが「ホワイト・ゾンビ」に始まるハイチのブードゥー教をベースにした「ブードゥーゾンビ映画時代」、SF映画ブームの影響を受けた「プラン9・フロム・アウタースペース」に始まる「SFゾンビ映画時代」、そしてジョージ・A・ロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」から始まる「モダン・ゾンビ映画時代」です。

このような分類によるゾンビ映画史の整理はとてもわかりやすく、かつ僕にとってはとても新鮮なものでした。このように体系的にゾンビ映画をまとめたという意味でも本書は他に類を見ないすごい本だと思います。

 

それにしても、一番印象的なのはゾンビ映画って思っていた以上にクズ映画が多いってこと。全作品を観た著者には申し訳ないけど、レビューを読んで笑ってしまうことの多いことといったらもう。

そんなレビューを少し抜粋したいと思います。

そうした低予算には目をつぶるとしても、タイトルに「ゾンビ」とありながら、ゾンビが出てこないのはどういう了見か。若き日のレナード・ニモイが、タイツを着て宇宙人を演じているが、これをゾンビと言い張るつもりか。(P.40)

 

あまりにも有名な史上最低のクズ映画。誰もが認めるクズぶりは、「プラン9」のように酷いだとか、「プラン9」のように安いだとか、他のクズ映画を解説する際に引き合いに出されるほど。もちろんクズ映画が珍しくないゾンビ映画の中でも、本作のクズぶりは群を抜いている。(P.45)

 

言うまでもなく、完全無欠のクズ映画である。ゾンビが大暴れし、ダム決壊、ビル倒壊などの大災害を引き起こすが、予算がないので本物のニュース・フィルムを垂れ流すだけ。宇宙人はプロ野球の中継室から地球侵略を宣言し、地球の命運を握る大佐は落とし穴を掘ってゾンビを捕らえる。(P.48)

 

脚本、演出、カメラワーク、編集、どれも極悪。先日、燃えないゴミの日にカラオケ大会を撮影したビデオを拾ったが、それを最後まで観た時の空しさに近いものを感じた。(P.130)

 

不快感を煽るだけの残酷描写と、少しも面白くない陰惨な物語は、あまりにも負の要素が強いため、大傑作に勝るとも劣らない印象を残す。この救いようのなさが、俗にいう80年代スタイルであり、好き嫌いを超越した怪しい輝きなのだ。例えば道端に吐かれたゲロに似ている。拾って交番に届けようとは思わないが、全く見ないで通り過ぎることもできない。(P.170)

 

自主制作映画らしい起伏のない展開に、無意味なダンス・シーンを十分も挿入するという無茶をやらかし、まるで最後まで鑑賞されることを拒むかのようである。果たしてキミは、ビデオ停止ボタンを押したいという誘惑に耐えられるのか?(P.210) 

これでも、クズ映画に対するレビューのほんの一部です。もっと酷くて笑ってしまうレビューが満載なのは、ゾンビ映画ファンとして喜んでいいのか悲しむべきなのかわからなくなるくらい。

実際、本書を読み終えて僕がこの作品は観たい!と思ったのはたったの42作品。

すでに観たことがあるものを除いての数だけど、それにしても345本中42作品だけとは・・・

 

クズだらけのゾンビ映画をひたすら観続け、悪態をつきながらも、どんなゴミクズのような作品に対しても著者のゾンビ愛を感じるという点において、本当にご苦労様でしたと頭が下がる思いです。

それだけに本当にゾンビ愛のなせるゾンビ映画の集大成であり、ゾンビ映画ファン必読の書だと思うわけです。

最後に著者の本書に対する思いを引用します。ここまでの境地に至るのは至難の業だなあ。僕もクズ作品をものともせずに精進しなければ!という気持ちにさせられました。

好きだという気持ちを貫けば、いつしかそれが愛へと変わるもの。どんなゴミ・ゾンビ映画だろうと、今や愛しく思えるほどだ(少しも面白いとは思わないが)。振り返ってみれば、つらいこともあった。もうゾンビ映画なんて観るもんか!と泣き叫んだことも一度や二度ではない。それも今となってはいい思い出。幾多の苦難を乗り越え、より一層、ゾンビ映画への愛は深まった。ゾンビ映画愛ー本書はその結晶なのである。

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ゾンビ映画大事典 (映画秘宝COLLECTION)

ゾンビ映画大事典 (映画秘宝COLLECTION)

 

 

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