[ま]ぷるんにー!(พรุ่งนี้)

ぷるんにー(พรุ่งนี้)とはタイ語で「明日」。好きなタイやタイ料理、本や映画、ラーメン・つけ麺、お菓子のレビュー、スターバックスやタリーズなどのカフェネタからモレスキンやほぼ日手帳、アプリ紹介など書いています。明日はきっといいことある。

[ま]Instagramとクラフトビール #BrewDog #デビルクラフト #Beer Hunting Urawa #ヒマラヤテーブル @kun_maa

昨年来クラフトビールにハマって、飲みすぎからの生活習慣病突入を断糖ダイエットでやり過ごして現在に至ります。

もうある程度ガンガン飲んでも大丈夫な健康状態にあるのですが、飲んだビールをブログに書く機会を逸して写真と感想メモばかりが溜まっていきます。

同じ銘柄のクラフトビールでもその時々の自分の体調はもちろんのこと、ブルワリーの仕込み回数が違えばそれぞれ味わいや風味もどんどん変わりますし、同じ樽の中でも上澄み部分と底部分でもこれが同じビールなのかっ!ってくらい違ったりもします。

そんなことを気にし始めたら書き損なった古い情報をブログに書くことに何の意味があるのだろうなどと余計なことを考え出すようになり、ますますクラフトビールについて何かを書くのが僭越というか恐ろしいというかおこがましいというか...まあなんだか億劫になってしまって久しいのです。

https://www.instagram.com/p/BLA_Y7ADK_D/

BREWDOG

スポンサーリンク

それでもやっぱり好きなものを語りたい。たとえ時期を逸したとしても自分の感想が拙くて役に立たないとしても、クラフトビールが大好きだという気持ちを届けたい!と次第に悶々としてきまして、そのために書き出すハードルを下げる試みとして Instagram にアップした写真と感想メモで溜まりに溜まったクラフトビールの一部を振り返ってみようかなと。

だってはてなブログだと Instagram から写真を取り込むのが超簡単だしさ。

例えばこんな感じでタイトルと写真が一発で取り込めるんだよね。

https://www.instagram.com/p/BMBZgu6DDrT/

桃ヴァイツェン

そしてこの時のメモはこんな感じ。

桃感が想像以上にすごい。濃厚な桃の風味とヴァイツェン香と気持ちの良い酸味。とても美味しい箕面ビールの桃ヴァイツェン3バッチ目。(2016年10月26日 Beer Hunting Urawa)

 

それじゃあもう少しピックアップしてみましょうか。

https://www.instagram.com/p/BMTXhUPjAca/

やばいやばいストロングスコッチエール ←マジでヤバいw

ベアードビール。カラメル感のあるフレーバーとけっこう甘みを感じる。飲み終わった後に残る微かな酸味もある。アルコール感は意外と強くないのだが飲んでいるうちにガツンとくる。3口くらいで急に酔いが回ってきたし、時間とともにアルコール感も出てきた。(2016年11月2日 CRAFT BEER BABY !)

 

https://www.instagram.com/p/BNY3SPOjq5i/

万咲IPA うめぇぇぇえ!

城山ブルワリーの万咲IPA 万咲と書いて「まあざく」と読む。ハーブのような独特のアロマとオレンジのようなフレーバーに独特の苦味がある。今まで飲んだことのないような風味のIPAだけどすごく美味しい。けっこう残る苦味が体に良さそうな感じだ。ふわっと感じる甘みも魅力的。(2016年11月26日 PRIMORDIAL)

 

https://www.instagram.com/p/BNbiQABD6-V/

KAI

氷川の杜のKAI 香りは強くないがホップの爽やかなアロマと軽い飲み口にしっかりとした苦味がある。じわりとくる苦味とモルトの旨味がけっこう好き。(2016年11月30日 氷川の杜)

 

https://www.instagram.com/p/BNgvPXSjZJO/

まろやか日向夏

宮崎ひでじビール 日向夏のすごく爽やかな香りがグラスから立ち上る。飲み口は名前のとおりメチャクチャまろやかで日向夏の風味が口いっぱいに広がる。苦味はほとんど感じないしぼりたての夏みかんのような飲みやすさでいくらでも飲めそう。ゲップまで日向夏。(2016年12月2日 Beer Hunting Urawa)

 

https://www.instagram.com/p/BNzEhDVjzc6/

Restorative Beverage

BrewDog 正式名称は Restorative Beverage for Invalids and Convalescents病中病後の元気回復飲料という意味だとか。トロピカルフルーツ感のあるフルーティなアロマ。そこにグレープフルーツが加わったような濃厚なフレーバーと苦味。ハードコアIPAよりも好きかも。こりゃ元気になると思う。(2016年12月9日 BrewDog Roppongi)

 

https://www.instagram.com/p/BOOo5fqju_g/

人間ドックの結果が衝撃的すぎてビール飲んでる 城端麦酒 俺のA.J.I

城端ビールのマサジビールプロジェクト参加作品。香りはそれほど目立たないがモルト感があるペールエールモルト由来の甘みも感じる。モルト感がしっかりとありながらもホップが効いていて飲みやすく美味しい。A.J.Iの意味はお店の人も知らなかった。(2016年12月20日 スワンレイク パブ エド八重洲店)

 

https://www.instagram.com/p/BOO2DdiDVfj/

志賀高原 W-IBA-MASAJI THE GREAT-

これもマサジビールプロジェクト。色はブラック。アロマとフレーバーはトロピカル感のあるフルーティーな感じでとても濃厚。苦味もガツンとあって〆にちょうどいい感じでしっかりとした飲みごたえ。同じ志賀高原「1t IPA」のマサジプロジェクト版って印象。飲むほどに美味しくガツンと効いてくる。(2016年12月20日 スワンレイク パブ エド八重洲店)

 

https://www.instagram.com/p/BOZBQIhDyQB/

KNEE DEEP ディープディッシュIPA

シトラス系の華やかなアロマがかなり遠くからでも感じるほど。少しハーブっぽいグラッシーさもある。すごくホッピーで苦味もしっかりとあり、トロピカルフルーツのような瑞々しさが美味しくて好きだ。(2016年12月24日 デビルクラフト神田店)

 

https://www.instagram.com/p/BOZatR5D4ZO/

オレンジヴァニラポータ

デビルクラフトのオレンジ ヴァニラ ポーター。キャラメルにオレンジとヴァニラを加えたようなスーッとするアロマと複雑なフレーバー。今まで飲んだことのない味わいのポーターだ。ちょっと漢方薬っぽい感じもあるが飲めば飲むほどオレンジの風味を強く感じる不思議な味わい。(2016年12月24日 デビルクラフト神田店) 

 

https://www.instagram.com/p/BOoRtYiDPJI/

ゆずホ和イト

箕面ビール 爽やかなゆずの香りでとてもやさしい味わい。ベルジャン特有の香りは強くなくて苦味もほとんどない。わずかな酸味が心地よくてとても飲みやすい。(2016年12月30日 ヒマラヤテーブル)

 

https://www.instagram.com/p/BOoxtcPDFp-/

IPA is Dead Simcoe とオリーブ

BrewDog 爽やかな柑橘系のホップのアロマとキリッとした苦味。ほんのりとモルトの甘味も感じる上にホップ感があって飲みやすいBrewDogらしいビールだ。アンチョビ風味のオリーブがとてもよく合う。(2016年12月31日 BrewDog Roppongi)

 

https://www.instagram.com/p/BOyzItQjkw6/

Axis of Yuzu

デビルクラフトとドイツのクリストファー・サリバンとのコラボビール。ホップのフルーティーなアロマ、みかんとゆずのやさしいフレーバー。ほんのりと香るヴァイツェンの風味が加わってとても飲みやすく美味しい。(2017年1月3日 デビルクラフト神田店)

 

https://www.instagram.com/p/BOzPwiND6TQ/

ばかやろー!エール

ベアードビール。ダークな色合いに似合わず柑橘系の爽やかなアロマ。数種類のアメリカンホップを惜しみなく使用しているとのことでモルティながらホップ感のあるフレーバーが素晴らしく美味しい。(2017年1月3日 CRAFT BEER BABY !)

 

ビールの写真ばかりでは酔ってしまいそうなのでつまみも少々。

https://www.instagram.com/p/BKVL9U6AQRG/

美味しいビールにはやっぱり肉だろ?

CRAFT BEER BABY !の牛もも肉のたたき!美味しいビールにはやっぱり肉だろ?

 

https://www.instagram.com/p/BNYzVlwDxnM/

いい肉の日だろ?

PRIMORDIAL のハラミステーキ。美味いんだなこれが。

 

https://www.instagram.com/p/BOZdCWDjrcw/

モモ!

ヒマラヤテーブルのモモ。ネパール式の餃子というか小籠包というか。まあそんな感じの美味しいやつ。ビールにももちろん合うんだぜ。

 

いかがでしたでしょうか。Instagram の貼り付けが思った以上に快適で、感想メモもEvernoteに入れてあるのでビール名で検索するとすぐに見つかります。これはブログにビールのことを書くハードルがかなりが下がったな。

こうやって振り返るとやっぱり飲み過ぎだよなって思うのと同時に、また早く美味しいクラフトビールが飲みたいなあってワクワクしてくるんだ。

https://www.instagram.com/p/BS76rtYA8B5/

暑くて美味しいビールが飲みたくて

スポンサーリンク

このブログを気に入っていただけたら、ちょくちょくのぞきに来ていただけるとうれしいです。そして、とっても励みになります。

RSS登録していただける方はこちらのボタンをご利用ください。 

follow us in feedly     

[ま]ゴーストライター(ロマン・ポランスキー監督作品)/素晴らしく上質なミステリー映画 @kun_maa

スポンサーリンク
こんにちは!映画って本当にいいですね @kun_maa です。
ちょっと古いけど素晴らしい映画に出会いました。

ゴーストライター (字幕版)

 
ロマン・ポランスキー監督、ユアン・マクレガー主演のサスペンス「ゴーストライター」(2010年英仏独作品)です。
 
原作者のハリス自身とポランスキーが脚色しており、ベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀監督)ほか多数の映画祭で数々の賞を受賞した作品です。
 
 
<あらすじ>
元英国首相アダム・ラング(ピアース・ブロスナン)の自叙伝執筆を依頼されたゴーストライターユアン・マクレガー)。
ラングが滞在する真冬のアメリ東海岸にある孤島に赴き、取材をしながら原稿を書き進めるうちに、ラング自身の過去に違和感を覚えるようになる。
やがてそれは前任者の不可解な死に対する疑問となり、その謎を追いかけることで国家を揺るがす恐ろしい秘密に触れてしまう。
そして、さらにラングの妻ルース(オリヴィア・ウィリアムズ)と専属秘書アメリア・プライキム・キャトラル)とともに巨大な渦にはまってゆくのだった・・・。
                 (作品公式ホームページより引用)

 

本格サスペンスとはいっても、そこはポランスキー作品です。

 
ハリウッド映画的な派手なドンパチはなく、とても静かなそしてその静かで陰鬱な空気のなかで淡々と進んでいく第一級のサスペンス映画です。

f:id:kun-maa:20120906214857j:plain

 
作品の舞台となるアメリ東海岸の孤島のモノトーンで寂寥とした空気が、作品全体を暗く覆うような感じがします。
それはまるで作品のストーリー展開を象徴しているかのように陰鬱です。
 
元首相の自伝を書くゴーストライターとなった男が、前任者の資料の中から偶然見つけた元首相の経歴に関する不可解な資料。
 
彼はその資料から前任者の不審な死に興味を抱き、たまたま前任者が使っていた車に乗ったが為にカーナビに導かれるように疑惑の中心人物のもとに足を踏み入れてしまい、陰謀の闇に巻き込まれていきます。
 
この作品、ストーリー展開の上手さがハンパないです。
 
決して謎解きを急がず、それでも次第に膨らんでいく不穏な雰囲気。
 
分かりそうで分からない「前任者の残した謎」。
 
誰が敵で、誰が味方なのか、何が真実で、何が嘘なのか。
 
ヒーローでも何でもない無力で無名な主人公(最後まで彼の名は明かされません!まさにゴーストライター)を通じて、不似合いな正義感とちょっとした野次馬根性を出してしまったばっかりに、巻き込まれていく大き過ぎる陰謀の行方に観ている方もじわじわと引き込まれていきます。
 

本当によくできたストーリーで社会派サスペンス映画の中でも超一級品だと思います。

 
最後に明らかにされる驚愕の真実と黒幕、そしてエンディングの意外な結末。
 
ラストシーンで原稿が風に舞う映像が、得体の知れない空恐ろしさとせつない余韻を残します。
 
まだご覧になっていない方には、超絶おすすめしたい作品。
 
ちなみに、この映画に登場する元英国首相ってブレア元英国首相をモデルにしているようです。
英国の政治に詳しい人が観るともっと楽しめるのかも知れませんね。 
スポンサーリンク

このブログを気に入っていただけたら、ちょくちょくのぞきに来ていただけるとうれしいです。そして、とっても励みになります。

RSS登録していただける方はこちらのボタンをご利用ください。 

follow us in feedly     

[ま]ランドセル俳人の五・七・五(小林凛 著)/俳句で泣けるとは思わなかったな @kun_maa

俳句と聞いて何を思い出すだろうか。

僕は松尾芭蕉小林一茶など著名な俳人の名前くらいしか思い浮かばなかった。俳句そのものに触れる機会もないし俳句というものにほとんど興味がなかったのだ。

スポンサーリンク

「俳句への挑戦」

この日本には、いじめられている人がたくさんいる。

僕もその中の一人だ。いじめは一年生から始まった。

からかわれ、殴られ、蹴られ、時には「消えろ、クズ!」とののしられた。それが小五まで続いた。僕は生まれる時、小さく生まれた。「ふつうの赤ちゃんの半分もなかったんだよ、一キロもなかったんだよ」、とお母さんは思い出すように言う。

だから、いじめっ子の絶好の標的になった。危険ないじめを受けるたびに、不登校になってしまった。そんな時、毎日のように野山に出て、俳句を作った。

「冬蜘蛛が糸にからまる受難かな」これは僕が八歳の時の句だ。

「紅葉で神が染めたる天地かな」この句は、僕のお気に入りだ。

僕は学校に行きたいけど行けない状況の中で、家にいて安らぎの時間を過ごす間に、たくさんの俳句を詠んだ。僕を支えてくれたのは、俳句だった。不登校は無駄ではなかったのだ。いじめから自分を遠ざけた時期にできた句は、三百句を超えている。

今、僕は、俳句があるから、いじめと闘えている。

これは本書の冒頭に書かれた著者である小学生の俳人小林凛君の文章である。

とても小学生が書いた文章とは思えないリズム感と読みやすいテンポが備わっていて、素直に気持ちが伝わってくる文章だ。

ランドセル俳人の五・七・五 いじめられ行きたし行けぬ春の雨--11歳、不登校の少年。生きる希望は俳句を詠むこと。

 

本書の著者である小林凛君は2001年5月、予定よりも3ヶ月も早く944グラムの超低体重児で生まれた。医師からは「命がもつか、まず三日間待ってください」と言われたそうだ。何度も入退院を繰り返し、水頭症の疑いもあることから年に1度はMRI検査を受けなければならない。

彼は4歳の頃から誰に教わることなく、五・七・五の17文字で自分の思いを表現するようになったという。

 

そんな彼を待ち受けていたのは小学校での過酷ないじめと、それを見て見ぬ振りをする学校の実態だった。彼にとって頭部への打撲は命取りであり、危険から身を守るためにも不登校という選択をせざるを得なかったという。

 

本書には、彼が8歳から11歳の間に詠んだ俳句が載っている。彼が自ら描いた絵とともに紹介されているものもある。俳句も絵もとてもじゃないが僕にはマネのできない素晴らしさだ。なんていうか、技術的なことはよくわからないけど作品の持つエネルギーが胸を打ち直接心に問いかけてくるといったらいいのだろうか。

 

僕は最初にも書いたとおり俳句には興味がなかったし、子どもの頃から授業で俳句を習っても苦手意識が先行してしまった。

句を詠むことはもちろんできないし有名な句を見ても想像力が足りないせいか情景が全くと言っていいほど浮かばないからだ。

 

でも本書で彼の俳句に触れた時、その言葉の瑞々しさと表現力の鋭さに驚かされた。

僕にも情景が浮かんできた。

そしてなによりも過酷ないじめにあうという苦境にありながらも、決して荒んだり卑下することなく心の豊かさと感受性を失わない芯の強さに驚かされた。

次に挙げるのは僕が好きな彼の俳句の一部だ。

「苦境でも力一杯姫女菀」 

「蓮の花祖父を送りて沈みけり」

「紅葉で神が染めたる天地かな」 

「肩並べ冬のアイスに匙ふたつ」

「飼い犬のムンクの叫び寒空に」 

 「夕焼けやもう居ぬ祖父はどの雲に」

「いじめ受け土手の蒲公英一人つむ」

「いじめられ行きたし行けぬ春の雨」

「生まれしを幸かと聞かれ春の宵」

俳句で泣けることってあるんだな。

初めてそんな経験をした。 

ランドセル俳人の五・七・五 いじめられ行きたし行けぬ春の雨--11歳、不登校の少年。生きる希望は俳句を詠むこと。

ランドセル俳人の五・七・五 いじめられ行きたし行けぬ春の雨--11歳、不登校の少年。生きる希望は俳句を詠むこと。

スポンサーリンク

最後までお読みいただきありがとうございます。

このブログを気に入っていただけたら、下のボタンからツイートやいいね!、お気に入り登録などしていただけるととてもうれしいです。

また、RSS登録していただける方はこちらのボタンをご利用ください。

follow us in feedly

[ま]灼熱の魂/運命を呪いつつ母性の強さを思い知らされる秀逸な映画 @kun_maa

映画で他人の人生を疑似体験することは楽しみではありますが、それは時にとても辛い体験となることもあります。この映画もそんな作品のひとつ。

灼熱の魂 [DVD] 

この「灼熱の魂」はアカデミー賞外国語映画賞にノミネート、ベネチア国際映画賞、トロント国際映画賞などで賞を受賞している作品です。
 
プールサイドで突然放心状態になりそのまま亡くなってしまった母親の遺言から、死んだと聞かされていた父親と存在すら知らなかった兄を探すことになる双子の姉弟の物語です。
母親の遺言は父と兄を探し出して母からの手紙を渡すこと。
それまでは墓石に自分の名前すら彫らないで欲しいという強い願いでした。
 
父と兄を探す旅は国境を越え時を超えて、風変わりだった母親の過去をさかのぼる旅となります。
 
母親との確執があったためか、弟は旅に出ることを拒絶し最初は姉だけが舞台となる中東の国へ。
 
物語はそこから母ナワルの回想シーンと、娘ジャンヌの母の過去を辿る旅とが交錯して描かれていきます。
母ナワルの若い時の役の女優と娘ジャンヌ役の女優の顔が似ているために少し混乱します。よく似ている女優を探したなあって感心。
そして観客もまた、ジャンヌや途中から旅に加わることになった弟シモンと一緒にナワルの生涯をたどることになります。
 
徐々に明らかになる母ナワルの壮絶な人生。
それは民族や宗教、宗派間の抗争、部族社会と人間の不寛容がもたらす血塗られた歴史を背景に理不尽な暴力の渦中にのみ込まれ翻弄されていったナワルのこれまで誰にも知られることのなかった切なく苦しい人生そのものです。

f:id:kun-maa:20121103203348j:plain

 
中東の某国(最後まで国名は出てきませんが、原作者の出身地がレバノンなので恐らくレバノンの内戦時代)での宗教や宗派が複雑に絡み合う内戦状態の中、ナワルはある理由からテロ組織に身を投じキリスト教右派の指導者を殺害して15年もの間、拷問が当たり前の監獄に収監されていたのです。

f:id:kun-maa:20121103203252j:plain

 
父への手紙と兄への手紙がなぜ別々でなければならなかったのか。
姉弟が最後にたどり着いたあまりにも残酷でおぞましい衝撃的な真実とは何か。
あの日、プールサイドでナワルが放心状態になったのはなぜなのか。

f:id:kun-maa:20121103203316j:plain

この映画のすごいところはすべての真実が明らかになったときに、それまでの断片的なシーンが一気に繋がる伏線の張り方の妙にあります。壮絶な人生の追体験に加えて張り巡らされた謎と隠された真実。
 
ジャンヌとシモンとともに謎に迫っていき、真実を知った時の観客の衝撃といったら。
まさに打ちのめされるという言葉がぴったりの作品です。
 
運命を呪いたくなります。
 
そして、それでも無償の愛を抱ける母性の強さを思い知らされました。  
灼熱の魂 (字幕版)

灼熱の魂 (字幕版)

 
 
この作品は観客もジャンヌとシモンとともに真相に迫って行くことが醍醐味なので、ネタバレするとその衝撃もストーリーの素晴らしさも台無しになります。
そうならないよう気をつけて感想を書いたつもりです。
 
もし気になった方がいたら、ぜひ自分の目でナワルの人生をたどり、衝撃の結末を体験して欲しいです。そんなことを思わされた秀逸な作品。
 

スポンサーリンク

このブログを気に入っていただけたら、ちょくちょくのぞきに来ていただけるとうれしいです。そして、とっても励みになります。

RSS登録していただける方はこちらのボタンをご利用ください。 

follow us in feedly    

[ま]Kindleストア【120冊半額】春の光文社新書フェア開催中/4月20日まで @kun_maa

未読本が減らずにどんどん増えていきます。

Kindle本が手軽すぎてついポチポチしてしまうのに加えて、紙の本で読みたい種類の本っていうのも確実にあってそちらもホイホイ買い込んでしまうものですから手持ちの本が減るわけがありません。

そんな状況なのにKindleストアでセール中の表示を見かけると、やっぱりチェックせずにはいられない僕は買い物依存症なのかもしれません。

f:id:kun-maa:20170415112318j:plain

スポンサーリンク

【120冊半額】春の光文社新書フェア

今回ご紹介するのは春の光文社新書フェアと題して、人文・思想系から科学やビジネス書、歴史や芸術まで幅広くカバーしている光文社新書Kindle本120タイトルが半額となっているセールです。

Amazon.co.jp: 【120冊半額】 春の光文社新書フェア(4/20まで): Kindleストア

 

手軽に知的好奇心を満たすことができる新書はついつい買いすぎてしまう傾向があるのですが、まあ半額なんで気になるタイトルがあればこの機会に買っておくのもいいんじゃないかと思います。

それでは僕が気になった本をピックアップ。 

忙しい人のための「自重筋トレ」 (光文社新書)

忙しい人のための「自重筋トレ」 (光文社新書)

 
結婚と家族のこれから?共働き社会の限界? (光文社新書)

結婚と家族のこれから?共働き社会の限界? (光文社新書)

 
闇経済の怪物たち?グレービジネスでボロ儲けする人々? (光文社新書)
 
森山大道 路上スナップのススメ (光文社新書)

森山大道 路上スナップのススメ (光文社新書)

 
人体 失敗の進化史 (光文社新書)

人体 失敗の進化史 (光文社新書)

 
医療探偵「総合診療医」?原因不明の症状を読み解く? (光文社新書)

医療探偵「総合診療医」?原因不明の症状を読み解く? (光文社新書)

 
精神障害者をどう裁くか (光文社新書)

精神障害者をどう裁くか (光文社新書)

 
今を生き抜くための70年代オカルト (光文社新書)

今を生き抜くための70年代オカルト (光文社新書)

 
大麻ヒステリー?思考停止になる日本人? (光文社新書)

大麻ヒステリー?思考停止になる日本人? (光文社新書)

 
検証 東日本大震災の流言・デマ (光文社新書)

検証 東日本大震災の流言・デマ (光文社新書)

 
〈宗教化〉する現代思想 (光文社新書)

〈宗教化〉する現代思想 (光文社新書)

 

とりあえずこんなところで。

他にもたくさんの興味深い本が揃っているので、対象本にひととおり目を通してみるのも楽しいと思います。

だいたい1冊350円程度ですし、たとえ10冊ポチっても4000円いきませんから1回飲みに行くのを我慢すれば大丈夫な感じでしょ。

未読本が増えてもいいじゃないですか(開き直った)。

Amazon.co.jp: 【120冊半額】 春の光文社新書フェア(4/20まで): Kindleストア

スポンサーリンク

このブログを気に入っていただけたら、ちょくちょくのぞきに来ていただけるとうれしいです。そして、とっても励みになります。

RSS登録していただける方はこちらのボタンをご利用ください。 

follow us in feedly    

[ま]人に優しく @kun_maa

スポンサーリンク

朝の通勤時間帯の混み合うJRの駅。

大勢の人間が忙しなく行き交っている中で僕は突然声をかけられた。

京浜東北線に乗るにはどこに行けばいいですか?」

振り返るとひとりのお婆さんが僕をじっと見つめながら、もう一度同じ言葉を繰り返した。

 

最初に思ったのは「なんでこんなにたくさん人がいるのに、よりによって僕に声をかけるんだよ...」ってこと。

そう、僕も仕事に行くために急いでいたんだ。

たぶん不愉快な気持ちが思いきり顔に出ていたと思う。

 

それでもお婆さんは僕を見つめてもう一度繰り返す。

京浜東北線に乗るにはどこに行けばいいですか?」

「そこのエスカレーターで下に降りて左に改札がありますから!」そう早口で言いながら僕は足早にその場を去ろうとした。しかしお婆さんは僕の言ったことを理解していないようだった。きっと嫌がらせのように早口でぞんざいな言い方だったから。

「エレベーターで上に行くんですか?」背後から僕に向かってそう問いかけるお婆さんの声が聞こえた。

そうだった。エスカレーターの隣にはエレベーターがあったんだ。よく聞き取れなければ勘違いしてしまう。

そのまま聞こえなかったふりをして行ってしまおうかと思った。

しかし僕は迷惑そうな顔で振り返り、「違う違う、そこのエスカレーター!下に降りて左に改札があるから!」とお婆さんに邪険な言葉を投げつける。

「切符はどこで買えますか?」

「(ちっ!)改札の横!」

そんな横柄な態度の僕に対してお婆さんは、深々と頭を下げて「ありがとう」と言ってエスカレーターで降りて行った。

f:id:kun-maa:20071005081145j:plain

 

お婆さんの丁寧で優しげな「ありがとう」という言葉を聞き、深々と頭を下げる姿を見たとき僕はハッとした。

なんで自分はこんなにも不機嫌にお婆さんに接してしまったのだろうと。

たしかに僕は急いではいたけれど、電車の乗り場を教えるくらいで遅刻するような切羽詰まった状況でもなかったのに。

もし仮に遅刻しそうだったとしても、ちゃんと丁寧に教えてあげて遅刻すればいいじゃないか。遅刻したところで死ぬわけでもあるまいし。

 

人に優しくありたい。僕は今までそう思っていた。

でもそんなものはほんの少しの慌ただしさという言い訳の前に偽善の仮面をかぶる余裕すらないちっぽけなものでしかなかった。偽善の先っちょにも引っかからない優しくありたいという醜悪な嘘。

僕のお婆さんに対する態度がすべてを物語っていた。

 

自分に余裕がある時に他人に優しくできるのは簡単なことだ。

余裕がない時にこそ本性が現れる。

改札の場所がわからず切符売り場にも行けないお婆さんに対して、あからさまに迷惑そうに接したこの時の自分の姿が本当の自分。

実に情けない姿だった。何が人に優しくありたいだ。人間性が薄すぎて反吐がでる。

 

駅の雑踏の中、慌ててお婆さんの姿を探した。でもその姿はもう僕の視界から消えていた。あのお婆さんはちゃんと切符を買って京浜東北線に乗れたのだろうか。

あんな不愉快極まりない態度をとった僕に対して頭を下げて丁寧にお礼を言ってくれたお婆さん。

あのお婆さんのような心根からにじみ出る優しさを僕も身につけたいと思った。

どんなときでも。誰に対しても。人に優しくありたい。

どんな時でもブレない強さを伴った優しさを身につけたい。

そんな気持ちを思い出させてくれた朝のひとコマ。恩送り。

スポンサーリンク

このブログを気に入っていただけたら、ちょくちょくのぞきに来ていただけるとうれしいです。そして、とっても励みになります。

RSS登録していただける方はこちらのボタンをご利用ください。 

follow us in feedly